青野ノリフミの「戻りました」

エッセイ・随筆。休憩から戻ったときに思い出したり、人に話したりするような、気軽に読めるものを書いています。

完全食。未来の食べもの。その音は―

完全食を食べたことがあります。必要な栄養がほとんど取れてしまう便利な食べ物。
パウダー、グミ、パスタなど種類は豊富です。私が買ったのはパウダー状のもので、シェイカーを使って飲みます。

 

未来の食べ物のように思えて憧れたのです。

職場ではプロティンと間違われました。聞きつけた人が興味を持って尋ねてきましたが、どう説明してもダイエットとしか思われません。あの頃は完全食という言葉は、ネットのごく一部で見るだけでしたから。

 

落とし穴がありました。たぶん私の体に合わなかったのでしょう。トイレの予想ができないのです。腹にはたまらないから、なかなかトイレをしたくならない。それなのに、いざしたくなると、あまり我慢できない。

メリットもありました。調理と食事と食器洗いを合わせて3分くらいで終わります。3分で完成するのではなくて、全部で3分。

結局、何度か挑戦しましたが5日が限界でした。スーパーなどに用事で行くと、食べ物が目に入りイライラするのです。

 

食事のスピードや、固形物を食べない未来感。きっと、私は人間を辞めたかったのです。

補充される燃料のコポコポという音が聞こえてくる。