青野ノリフミの「戻りました」

エッセイ・随筆。休憩から戻ったときに思い出したり、人に話したりするような、気軽に読めるものを書いています。

私は、図書館に住んでいます

図書館のテーブルで新聞を見ながら何かを必死に書いている男性。ペンを小まめに使い分けているようで、数秒おきにカラカラとペンの転がる音がします。

男性は急に「つまんないな」と大きな声で独り言。振り向いてみると、声に出すつもりはなかったようで、恥ずかしくなったのか席を立ち、本を探しに行かれました。

定年退職をしているであろう彼の、つまらない日常を嘆いた発言から、学生時代を思い出す。なにか起こることを期待しつつも、普通に過ぎていくあの頃。しかし楽しいことも山ほどあった。もしかしたら彼も同じかもしれません。そこで彼に自分の将来の可能性を考えてみる。つまらない、といいつつ面白いことに囲まれているという想像をしようとした、そのとき。

ブー、シュー、と大きな鼻をかむ音。

これも彼なのです。よく見ると、テーブルの一番端で隣に誰も座れないことをいいことに、大量の荷物。ペットボトルも5本くらい。違う日に行っても同じ席にいました。

将来の私は、図書館に住んでいます。